安倍晋三首相は27日午前、トランプ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談した。今月9日に短距離弾道ミサイルを発射した北朝鮮への対応をすり合わせるとともに、日本人拉致問題の進展に向けて連携することを確認。首相は米国と対立が深まるイランを6月に訪れ、イラン核合意の履行継続と緊張緩和に向けた対応を呼びかける意向を伝え、トランプ氏の理解を得たい考えだ。日米貿易問題については、協定締結に向けた交渉加速を確認する見通し。両首脳は27日午後、共同記者会見に臨む。FF14 rmt

 両首脳の会談は、首相が訪米した4月以来で、11回目。首相は令和時代初の国賓として迎えたトランプ氏と強固な日米同盟を国内外にアピールする狙いだ。トランプ氏は6月に大阪市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた来日も予定しており、3カ月連続で首脳会談を行う見通しだ。

 両首脳は北朝鮮との対話路線を維持しつつ、核・ミサイル廃棄に具体的措置をとるまで経済制裁を維持する方針を確認。首相は前提条件なしに金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を目指す意向をトランプ氏に伝え、重ねて拉致問題解決への協力を要請する見通しだ。

 日米貿易協定を巡っては、トランプ氏は26日にツイッターで「日本との貿易交渉で大きな進展が得られつつある。農業と牛肉が焦点だ。7月の(参院)選挙後まで待つことになるだろう」と書き込んだ。参院選に神経をとがらせる首相に配慮したとみられる。農産物や自動車を巡る溝は埋まっておらず、会談では交渉加速の確認にとどめる方針だ。

 日本が議長国を務めるG20での米国の協力や、法の支配や市場経済を重視する「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた連携も確認する。

 首相とトランプ氏は会談後、拉致被害者の家族らとの面会も予定している。27日夕には、天皇、皇后両陛下が主催する宮中晩さん会にそろって出席する。